【2026年版】骨太の方針とは?注目の戦略17分野を解説
著者
阿東いつ子

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今回の骨太の方針では、「強い経済」の実現に向けて官民連携で大規模かつ長期的な投資を進める方針を示しています。その柱となるのが、重点的に投資をおこなう17の戦略分野です。
この記事では、2026年の骨太の方針の特徴や、17の戦略分野についてわかりやすく解説します。
#骨太方針2026 #予算編成 #経済財政運営と改革の基本方針
骨太の方針とは

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「骨太の方針(正式名称:経済財政運営と改革の基本方針)」とは、日本の経済や財政をどのように運営していくかを示す政府の基本方針です。
政府は毎年、今後の経済政策や重点施策を骨太の方針としてまとめ、閣議決定します。骨太の方針そのものに法律のような拘束力はありませんが、その後の予算編成や税制改正、制度改革などの土台となるため、日本の政策の方向性を知るうえで重要な文書です。
骨太の方針2026の特徴
2026年の骨太の方針は高市政権で初めてまとめられたもので、今年を「責任ある積極財政」の元年と位置づけています。日本ではこれまでの未来への投資不足により潜在成長率が低迷していることから、17の戦略分野を選定し、官民が連携して重点的に投資する方針が示されました。
さらに、単年度ごとではなく複数年度にわたる計画的な予算を導入し、長期的かつ安定的に投資を進めることで持続的な経済成長を目指しています。
骨太の方針2026の戦略17分野
骨太の方針2026では、17の戦略分野とさらに細分化した62の主要な製品・技術などについて、想定投資額を公表しています。どのような分野に投資がおこなわれるのか、その目的と合わせて見ていきましょう。
1.AI・半導体
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①フィジカルAI(特にAIロボット) | 10.5兆円 | 2040年度まで |
| ②フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体 | 68.0兆円 | |
| ③バーティカルAI(領域特化型AI) | 23.1兆円 |
「AI・半導体」は、デジタル社会を支える重要な分野です。AI向け半導体の研究開発や生産体制の強化を進め、国内の半導体産業の競争力向上を図ります。
62の主要な製品・技術等の中で最も投資額が大きいのが、「②フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体(AI向け半導体)」です。AI向け半導体の需要は世界的に拡大しており、国内で生産される半導体の売上高を2040年までに40兆円へ引き上げる目標が掲げられています。
2.デジタル・サイバーセキュリティ
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①データプラットフォーム | 0.9兆円 | 2035年度まで |
| ②セキュリティの確保された政府・地方公共団体のAX/DX基盤 | 7.4兆円 | |
| ③AI時代に対応した先進的セキュリティ製品・サービス | 1.0兆円 | |
| ④クラウド・データセンター、蓄電池 | 32.7兆円 | |
| ⑤クラウドネイティブに最適化された医療DX基盤 | 5.2兆円 | 2040年度まで |
| ⑥自動運転技術 | 8.2兆円 |
「デジタル・サイバーセキュリティ」は、デジタル社会を支える重要な分野です。通信インフラの整備やサイバーセキュリティの強化を進め、デジタル基盤の強化を図ります。
このうち「④クラウド・データセンター、蓄電池」は、AIブームを背景に全体で2番目に大きい投資対象となっています。
3.情報通信
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①オール光ネットワーク (APN:All-Photonics Network) | 5.9兆円 | 2040年度まで |
| ②海底ケーブル | 2.4兆円 | |
| ③次世代ワイヤレス(非地上系ネットワーク、5G/Beyond5G(6G)等) | 20.5兆円 |
「情報通信」はAI社会を支える基礎で、国の安全と成長に欠かせない分野です。AIや自動運転を支える高速通信網の整備や、海底ケーブルなどの通信インフラの強化を進めることで、他国への依存を減らし、日本の光通信技術の競争力向上を図る方針です。
4.量子
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①量子コンピューティング | 10.3兆円 | 2040年度まで |
| ②量子通信・ネットワーク | 1.5兆円 | |
| ③量子センシング | 1.4兆円 |
「量子」分野は、計算や通信の能力を飛躍的に高め、将来の産業や安全保障の基盤となります。量子コンピューティングや暗号通信などの先端技術を自国で育てて他国への依存を防ぎ、経済や技術の優位性を確保することを目指しています。
5.防衛産業
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①小型無人航空機 | 0.4兆円 | 2040年度まで |
| ②艦艇 | - | - |
| ③デュアルユース技術 | 4.3兆円 | 2040年度まで |
「防衛産業」は、国の安全や国民の暮らしを守るために重要な分野です。防衛装備品を国内で安定して生産・維持できる体制を整えるとともに、先端技術の活用を進め、安全保障の強化や産業の発展につなげる方針です。
②の艦艇分野では、2026年度予算として艦艇の建造や整備などに約3,400億円が計上されています。さらに、「戦略三文書」の改定にあわせて追加の投資も見込まれています。
6.航空・宇宙
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①民間航空機(次期単通路機・次世代航空機) | 3.5兆円 | 2040年度まで |
| ②無人航空機 | 0.3兆円 | |
| ③空飛ぶクルマ | 0.4兆円 | |
| ④ロケット・射場 | 2.3兆円 | |
| ⑤人工衛星・サービス | 6.4兆円 | |
| ⑥月面探査・低軌道技術 | 5.6兆円 |
「航空・宇宙」は交通や通信、防衛などを支える分野です。ロケットや人工衛星、空飛ぶクルマなどの次世代技術の開発を進めることで、技術力や産業競争力の向上、防衛力の強化などが期待されています。
7.海洋
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①海洋無人機(海洋ドローン) | 1.2兆円 | 2040年度まで |
| ②海洋状況把握(MDA) | 1.2兆円 | |
| ③革新的海底開発技術・システム | 0.9兆円 |
「海洋」は、海洋資源の活用や海上交通、安全保障に関わる分野です。海洋ドローンや海底資源開発などの技術開発を進め、海洋資源の活用や海洋産業の競争力向上を図ります。
8.造船
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①次世代船舶 | 1.0兆円 | 2034年度まで |
| ②船舶修繕 | 0.1兆円 | 2035年度まで |
| ③LNG運搬船 | 今後精査 | - |
「造船」は、海上輸送や物流を支える基盤産業です。環境性能の高い船舶や次世代船舶の開発、建造・修繕体制の強化を進め、国際競争力の向上を目指しています。
9.マテリアル(重要鉱物・部素材)
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①永久磁石 | 0.2兆円 | 2040年度まで |
| ②グリーン鉄 (資源・エネルギー安全保障・GX③と同じ) | 4.2兆円 | |
| ③革新的な金属部素材 | 0.3兆円 | |
| ④低炭素金属部素材 | 0.7兆円 | |
| ⑤一次原料(鉱石等)及び二次原料(リサイクル材等の循環資源)からの製錬・分離精製、解体選別技術 | 6.3兆円 | |
| ⑥AI等を活用した複合新素材 | 5.2兆円 |
「マテリアル(重要鉱物・部素材)」は、半導体や電池などの製造を支える基盤となります。重要鉱物の安定調達やリサイクル、高機能素材の開発を進め、供給網の強化や産業競争力の向上につなげる方針です。
10.合成生物学・バイオ
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①バイオものづくり | 12.8兆円 | 2040年度まで |
| ②バイオ医薬品・再生医療等製品等 (創薬・先端医療③と同じ) | 20.8兆円 |
「合成生物学・バイオ」は、医療や化学、ものづくりなど幅広い活用が期待される分野です。微生物などを活用した新たな生産技術や素材の開発を進め、新産業の創出や競争力の強化を図ります。
11.創薬・先端医療
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品(医薬品、再生医療等製品) | 23.4兆円 | 2040年度まで |
| ②感染症対応製品 | 7.2兆円 | |
| ③バイオ医薬品・再生医療等製品等 (合成生物学・バイオ②と同じ) | 20.8兆円 | |
| ④革新的デバイス(AI、ロボティクス等)を活用した先端医療 | 11.6兆円 | |
| ⑤ライフログデータ等を活用したヘルスケア関連サービス | 1.1兆円 |
「創薬・先端医療」は、新薬や高度な医療技術の開発を進める重要な分野です。AIやロボティクスなどを活用した創薬・医療技術の研究開発を強化し、医療分野の競争力向上や国民の健康維持につなげます。
12.資源・エネルギー安全保障・GX
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①次世代型太陽電池(ペロブスカイト太陽電池等) | 4.1兆円 | 2040年度まで |
| ②水素等 | 6.2兆円 | |
| ③グリーン鉄 (マテリアル(重要鉱物・部素材)②と同じ) | 4.2兆円 | |
| ④次世代型地熱 | 1.0兆円 | |
| ⑤洋上風力 | 5.1兆円 | |
| ⑥次世代革新炉 | 5.0兆円 | |
| ⑦GXケミカル | 3.2兆円 |
「資源・エネルギー安全保障・GX」は、安定したエネルギー供給と脱炭素社会の実現に欠かせない分野です。ペロブスカイト太陽電池や水素、次世代革新炉などの開発・導入を進め、エネルギー安全保障の強化とGXを推進します。
13.フュージョンエネルギー
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①フュージョンエネルギー | 3.1兆円※ | 2040年度まで |
「フュージョンエネルギー(核融合)」は、次世代のエネルギー源として期待される分野です。実証や技術開発を進めることで、将来的なエネルギーの安定供給や脱炭素社会の実現への貢献が期待されています。
※フュージョン発電実証プラントが1つであると仮定した試算。実用化の見通しが立てば投資額の増加が見込まれる。
14.防災・国土強靱化
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①防災技術 | 2.6兆円※ | 2030年度まで |
「防災・国土強靱化」は、自然災害への備えを強化するための重要な分野です。AIやデジタル技術を活用した防災対策やインフラ整備を進め、安全で災害に強い国づくりを推進します。
※この金額に加え、第1次国土強靱化実施中期計画に沿って2030年度までに官民合わせて20兆円以上の投資がおこなわれる予定。
15.港湾ロジスティクス
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①港湾荷役機械 | 0.4兆円 | 2040年度まで |
| ②サイバーポート(港湾物流DX) | 0.2兆円 | |
| ③次世代型倉庫 | 0.6兆円 |
「港湾ロジスティクス」は、物流や貿易を支える重要な分野です。港湾のデジタル化や物流機能の高度化を進め、物流の効率化や国際競争力の向上を図ります。
16.フードテック
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①植物工場 | 4.6兆円 | 2040年度まで |
| ②陸上養殖 | 2.9兆円 | |
| ③食品機械 | 1.2兆円 | |
| ④新規食品 | 1.0兆円 |
「フードテック」は、食料不足や環境変化に対応し、将来の食生活を担保する先進領域です。植物工場や陸上養殖、新規食品の開発を推進して食料自給の不安を解消し、持続可能で豊かな食文化を世界に広げていきます。
17.コンテンツ
| 主要な製品・技術等 | 官民投資額(想定) | 対象期間 |
|---|---|---|
| ①ゲーム | 24.5兆円 | 2033年度まで |
| ②アニメ | 3.3兆円 | |
| ③マンガ | 1.6兆円 | |
| ④音楽 | 3.0兆円 | |
| ⑤実写 | 1.3兆円 |
「コンテンツ」は、アニメやゲーム、音楽など日本の強みを生かせる成長分野です。制作環境の整備や海外展開を進めることで、コンテンツ産業の競争力向上や市場拡大を図ります。
特に「①ゲーム」は全体で3番目に多い投資額が見込まれており、日本のコンテンツ産業をけん引する分野として重点的な支援がおこなわれます。
骨太の方針から日本の成長戦略を読み解こう

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骨太の方針は、日本の成長戦略や重点投資分野を知るための重要な資料です。特に2026年版は17の戦略分野と62の主要な製品・技術が示されており、今後の成長が期待される分野を具体的に把握できます。
有名な相場格言に「国策に売りなし」があります。これは、国が重点的に支援する産業は今後の成長が期待されることから、関連企業の株価も上昇しやすいというものです。投資先を検討する際は、骨太の方針も参考にしてはいかがでしょうか。
著者
阿東いつ子