住宅ローンは繰り上げ返済したほうがいい?メリットデメリットを考える
著者
阿東いつ子

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そこでこの記事では、繰り上げ返済のメリット・デメリットや「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違いのほか、金利上昇に向けた繰り上げ返済以外の対策についてもわかりやすく解説します。
#住宅ローン #繰り上げ返済
住宅ローン繰り上げ返済のメリット・デメリット

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「繰り上げ返済」とは、毎月の返済とは別に元本を返済する手続きです。借入残高を一括で返済する「期限前完済」と残高の一部を返済する「一部繰り上げ返済」があります。
ここでは、主に一部繰り上げ返済について解説していきます。
繰り上げ返済のメリットとは
繰り上げ返済の最大のメリットは、支払う利息を減らせることです。また、「定年前に完済したい」「毎月の家計に余裕を持たせたい」など、返済期間や返済額の調節にも利用できます。
さらに、住宅ローン残高が減ることで、精神的な負担を軽減できる点もメリットといえるでしょう。
繰り上げ返済のデメリットとは
繰り上げ返済のデメリットは、手元資金が減ることです。繰り上げ返済に資金を回しすぎると、病気や失業などで収入が減ったり急な出費があったときに、支払いが難しくなることがあります。
また、住宅ローン借入時に加入する団体信用生命保険は、契約者が所定の状態になった場合に保険金で住宅ローンが完済されます。繰り上げ返済で残高が減ると、その分保障も小さくなります。
さらに、住宅ローン控除の適用期間中に繰り上げ返済すると、年末時点の住宅ローン残高が減って所得税や住民税の控除額が少なくなる場合があります。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」はどう違う?

一部繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、目的に合わせて選べます。
期間短縮型は利息の軽減効果が高い
期間短縮型は、毎月の返済額は変えずに返済期間を短くする方法です。短縮した期間分の利息がカットされるため、利息の軽減効果は返済額軽減型より大きいです。
<期間短縮型が向いている人>
- 返済期間を短くしたい人
- 利息をできるだけ減らしたい人
返済額軽減型は家計にゆとりが生まれる
返済額軽減型は、返済期間は変えずに毎月の返済額を減らす方法です。繰り上げ返済した分毎月の返済額が下がるため、繰り上げ返済の効果を実感しやすいです。
<返済額軽減型が向いている人>
- 子どもの教育費など、出費の増加が予想される人
- 金利上昇で増えた分の返済額を減らしたい人
期間短縮型と返済額軽減型は併用も可能
期間短縮型と返済額軽減型は、組み合わせることもできます。
例えば、「期間短縮型で定年時に完済できるよう期間を短縮し、資金に余裕があれば返済額軽減型で毎月の返済を軽くする」といった活用方法もあります。
住宅ローンの繰り上げ返済シミュレーション
期間短縮型と返済額軽減型では、返済期間や金額にどのような差が出るのでしょうか。次の条件でシミュレーションしてみましょう。
残りの返済期間:30年
残りの元本:3,000万円
繰り上げ返済金額:500万円
金利:1.5%
| 繰り上げ返済なし | 期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
|---|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 103,536円 | 103,536円 | 86,280円 |
| 残りの返済期間 | 360ヵ月(30年) | 288ヵ月(24年) | 360ヵ月(30年) |
| 支払金利 | 7,272,983円 | 4,778,061円 | 6,060,819円 |
| 利息の軽減効果 | ー | 2,494,922円 | 1,212,164円 |
期間短縮型を選択すると返済期間は6年短縮され、支払う利息は約250万円少なくなります。一方、返済額軽減型を選択すると毎月の返済額が約1万7,000円軽減され、利息は約120万円減る計算です。
繰り上げ返済しなかった場合と比べてどちらの方法も利息を減らせますが、軽減効果は期間短縮型の方が大きいです。
なお、今回のシミュレーションは金利が年1.5%のまま変わらないことを前提としています。金利が上昇した場合、利息の軽減効果の差はさらに広がります。
金利上昇時の繰り上げ返済以外の対策
金利上昇による家計への負担を抑える方法には、繰り上げ返済以外に「住宅ローンの借り換え」や「運用」があります。
現在の金利が高めなら住宅ローンの借り換えを検討
現在適用されている住宅ローン金利が高い場合は、より低金利の住宅ローンへ借り換えることで返済額を抑えられる可能性があります。
借り換えによる返済軽減効果は、借入残高が多く、残りの返済期間が長いほど大きくなります。また、事務手数料や保証料などの諸費用がかかるため、一般的には「残高1,000万円以上」「残りの返済期間10年以上」「金利差0.5%以上」が借り換えを検討する目安とされています。
まずは複数の金融機関の金利を比較し、諸費用を加えた上でどれだけ返済負担を軽くできるか試算してみましょう。
運用で金利上昇分をカバーできる場合も
繰り上げ返済せず、投資信託などで運用するのも選択肢のひとつです。急に資金が必要になったときに取り崩せるうえ、運用利回りが住宅ローン金利を上回れば、資産形成にも役立ちます。
例えば、残りの返済期間30年、住宅ローン残高3,000万円、金利1.5%の場合、期間短縮型で500万円繰り上げ返済すると返済期間は24年に短縮されます。
この500万円を税金や手数料は考慮せず年利4%で運用すると、24年後には約1,282万円になります。この時点の住宅ローン残高約650万円を運用した資産で完済すると、手元に約630万円残る計算です。
なお、年利4%は投資信託による長期投資で期待できる標準的な利回りですが、実際の運用成果は保証されません。元本割れのリスクもあるため、手元資金や今後のライフイベントなども考えて判断することが大切です。
繰り上げ返済する際の注意事項
繰り上げ返済は利息を減らすのに効果的な方法ですが、手元資金が減るなどのリスクを伴うため、次の点に注意しましょう。
生活防衛資金を確保してからおこなう
繰り上げ返済に資金を回しすぎると、急な出費や収入減に対応できなくなるおそれがあります。生活費の半年分を目安に、いざというときの備えは確保しておきましょう。
今後のライフイベントも考慮しておく
繰り上げ返済で資金を減らしすぎると、車の購入や子どもの進学でマイカーローンや教育ローンが必要になる場合があります。これらは住宅ローンより金利が高いことが多いため、結果的に支払う利息が増える可能性があります。
住宅ローン控除への影響を確認する
住宅ローン控除期間中に繰り上げ返済すると、年末の借入残高が減って控除額が少なくなる場合があります。
手数料や最低返済額を確認する
金融機関によっては、繰り上げ返済に手数料がかかったり、一度に返済できる最低金額が決まっている場合があります。借り入れしている金融機関で事前に確認しましょう。
繰り上げ返済は返済負担の軽減に効果がある

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住宅ローンを繰り上げ返済すると、支払い予定の利息を減らせます。利息の軽減効果を重視するなら期間短縮型、毎月の返済負担を抑えたいなら返済額軽減型を選ぶと良いでしょう。
ただし、繰り上げ返済で手元資金を減らしすぎると、急な出費や将来のライフイベントへの対応が難しくなる可能性があります。生活防衛資金や今後必要となる資金を確保したうえで、無理のない範囲で繰り上げ返済を検討してみましょう。
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