イラン情勢悪化でガソリン代はどうなる?【3月19日から補助金再開】
著者
阿東いつ子

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そこでこの記事では、原油やガソリン価格の動きに加え、政府が実施するガソリン補助金や今後考えられる影響についてわかりやすく解説します。
#原油 #ガソリン #価格高騰 #補助金
イラン情勢の悪化で原油価格はどれくらい上がった?
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出典:SBI証券
アメリカとイランの緊張の高まりを受け、原油価格は1月下旬から上昇し、去年9月下旬以来の高値を記録しました。
さらに、2026年2月28日にはアメリカとイスラエルがイランへの攻撃を開始。世界の石油輸送の約2割が通るホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、原油価格は急上昇しました。
攻撃前は1バレル65ドル前後だった原油価格は、3月16日時点で100ドルを突破。わずか1ヵ月で50%を超える大幅な上昇となっています。
ガソリン価格はどれくらい上がった?
レギュラーガソリン価格 全国平均
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参考:資源エネルギー庁 給油所小売価格調査(3月11日)をもとに筆者が作成
日本では、2025年11月13日からガソリンの暫定税率廃止に向けた補助金の拡充が始まり、同年12月31日に暫定税率が廃止されました。これにより、1Lあたりのレギュラーガソリン価格は150円台半ばまで低下しました。
しかし、その後は原油高の影響で1月下旬からじわじわと上昇し、3月に入ると上昇ペースが加速。3月9日時点の店頭現金小売価格は、161.8円/Lと4週連続の値上がりとなりました。さらに、3月16日時点で200円/Lを超えたガソリンスタンドもあります。
政府は石油備蓄の放出を決定
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日本は石油の9割以上を中東に依存しており、ホルムズ海峡の封鎖によって日本への原油輸入量は3月下旬以降大きく減少する見込みです。需要と供給のバランスが崩れて急激に値上がりしないよう、政府は石油備蓄の放出を決定しました。
石油備蓄とは、原油価格の急激な変動や戦争などによる供給不足に備えて石油を保管しておく仕組みで、1970年代の石油危機をきっかけに制度化されました。国家備蓄、民間備蓄、産油国共同備蓄の3種類があり、2025年12月時点でそれぞれ次の日数分が備蓄されています。
| 国家備蓄 | 政府が非常時に備えて保管している備蓄 | 146日分 |
|---|---|---|
| 民間備蓄 | 石油会社などの民間企業が、法律に基づいて一定量を保管している備蓄 | 101日分 |
| 産油国共同備蓄 | 日本の石油基地に、産油国の国営石油会社などが保管している備蓄 | 7日分 |
このうちまず民間備蓄を15日分、その後国家備蓄を当面1ヵ月分放出することが決定されています。その後は必要に応じて国家備蓄を放出し、並行して輸送ルートの確保や中東以外の地域からの調達を目指す方針です。
3月19日からガソリン補助金が再開
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原油価格の上昇により、ガソリン価格は300円/Lを超えるおそれも出てきました。こうした事態を受け、政府は2026年3月19日からガソリン補助金の再開を決定しました。
ガソリン補助金は、価格の急激な上昇を抑える目的で2022年1月に導入された制度です。2025年12月31日の暫定税率廃止とあわせて終了しましたが、あらためて再開されることになります。
補助金は、石油元売り会社に対しガソリン価格が170円を超えた分を全額支給する仕組みで、これによりガソリン価格は170円前後まで下がる見込みです。
ただし、補助金が販売価格に反映されるまでには1~2週間程度かかるとされており、ガソリン価格が落ち着くのは3月末から4月初め頃になると見られています。
原油高騰でガソリン以外はどうなる?
原油はガソリンだけでなく、生活のさまざまな場面で使われています。原油高騰が続くとどのような影響が出てくるのでしょうか。
軽油、灯油、重油、航空機燃料には補助金が支給
軽油・重油・灯油についてはガソリンと同額の補助が実施されます。
このうち軽油は4月1日に暫定税率の廃止が予定されており、それまでは暫定税率相当の17.1円の補助に加え、追加の補助が支給されます。
重油と灯油は、これまでの1Lあたり5円の定額補助からガソリンと同水準の補助へと見直されます。
航空機燃料は、1Lあたり4円の定額補助からガソリン補助額の4割相当の支給に変更されます。
石油製品は値上がりの可能性
補助金の対象は主に燃料に限られるため、それ以外の石油製品は原油価格の影響を受けやすく、値上がりする可能性があります。
とくに、原油を原料とするナフサの不足が見込まれており、複数の企業がナフサを使うエチレンの減産を決めています。エチレンは食品トレーやペットボトル、包装材、衣類など幅広い製品に使われているため、減産は日用品や食品の価格上昇につながる可能性があります。
輸入品は値上がりの可能性
日本が輸入する製品や原料のほとんどは、船による海上輸送で運ばれています。原油価格が上昇すると船の燃料費が高くなり、輸送コストが大きく増加します。
その結果、輸入品そのものだけでなく輸入品を原料とする食品や製品についても、今後値上がりする可能性があります。
原油高騰が続くと電気・ガス料金にも影響
日本の発電に占める石油火力の割合は、2025年時点で約7%と高くありません。また、発電や都市ガスに使われるLNG(液化天然ガス)の中東依存度は約1割にとどまっており、ホルムズ海峡封鎖の影響は原油に比べて小さいとされています。このため、電気料金やガス料金はすぐに影響が出るわけではありません。
ただし、LNG価格は原油価格に連動し、3~4ヵ月遅れて電気・ガス料金に反映されます。そのため、ホルムズ海峡の封鎖が長引いた場合、夏頃には電気・ガス料金が上がる可能性があります。
補助金でガソリン価格は170円程度に抑えられる見通し

画像出典:https://pixta.jp/photo/93640750
原油価格は上昇傾向にありますが、日本には約8ヵ月分の石油備蓄があり、すぐに燃料が不足する状況ではありません。政府は石油備蓄放出やガソリン補助金により価格上昇を抑える対策を実施し、ガソリン価格は170円程度に抑えられる見込みです。
ただし、補助金が店頭価格に反映されるまでには1~2週間程度かかるため、ガソリン価格が170円程度に落ち着くのは3月末から4月初め頃になると見られています。
原油高は長期化の可能性が高く、石油製品をはじめとした幅広い製品が値上がりする可能性があります。今後の動向には注意が必要ですが、過度に心配せず冷静に状況を見守っていきましょう。
著者
阿東いつ子