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2026/03/13

【2026年度診療報酬改定】患者の負担はどう変わる?OTC類似薬自己負担の見直しも解説

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診療報酬の改定により、2026年6月から医療サービスの価格が変更されます。今回の改定では、物価の上昇が初診や再診、入院時などに幅広く反映されるため、多くの場面で患者の自己負担が増えることになります。

この記事では、診療報酬改定のポイントや自己負担の増加額のほか、検討が進められているOTC類似薬の自己負担上乗せについても解説します。

#医療費 #診療報酬改定 #物価上昇 #薬代

そもそも診療報酬とは?

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「診療報酬」とは、病院やクリニックで受ける診察・検査・手術・薬の処方など、健康保険が使える医療サービスに対して支払われる「公定価格」です。厚生労働省が定めており、全国どこでも同じ価格です。

医療の進歩や少子高齢化、物価や人件費の動きなどに対応するため、診療報酬は原則2年に1度見直されます。

診療報酬は点数で表され、「1点=10円」で次のように計算されます。

<例:1,000点の医療行為を受けた場合>

医療機関が受け取る金額・・・・・1万円
(3割負担の場合の内訳 自己負担:3,000円、健康保険からの支払:7,000円)

2026年度診療報酬改定のポイント

2026年度の診療報酬改定は、医療人材の確保や物価上昇への対応による持続可能な医療体制の構築が大きなテーマとなりました。そのため、医師の人件費や技術料にあたる「本体」部分の3.09%引き上げという、約30年ぶりとなる高水準のプラス改定となりました。

患者側から見ると、次のような変更があります。

  • 物価対応料の新設
  • ベースアップ評価料を拡充
  • 入院時の食費と光熱水費を引き上げ
  • 薬局での調剤減が可能に

それぞれ詳しく見ていきましょう。

物価高対応の費用を上乗せする仕組み(物価対応料)の新設

医療材料や光熱水費の高騰、スタッフの賃上げに対応するため、2026年度診療報酬改定では「物価対応料」が新設されることになりました。

物価の上昇に対応するため、初・再診料や入院基本料に次の保険点数が段階的に上乗せされます。

 2026年6月から2027年6月から
保険点数2点4点

職員の賃上げのための上乗せ(外来・在宅ベースアップ評価料)を拡充

「外来・在宅ベースアップ評価料」は、保険医療機関で働くスタッフの賃金のベースアップを目的に2024年度の診療報酬改定で新設されました。

この評価料は、地方厚生局に届け出たうえで看護師や薬剤師など医療関係職種の賃金を改善することで診療報酬に上乗せできます。これにより得られた収益は、全額が対象職種の賃金引き上げに充てられます。

初診時及び再診時の点数は、2025年度までの届出の有無により次のように異なります。

  2026年5月まで2026年6月から2027年6月から
2025年度までに届出済みの医療機関初診時6点23点40点
再診時2点6点10点
新規に届け出た医療機関初診時17点34点
再診時4点8点

入院時の食費と光熱水費を引き上げ

食材費や光熱水費の高騰を背景に、入院時の費用も見直されます。

食費の自己負担は1食あたり40円増

入院時に必要な食費は、1食あたりの総額(食事療養基準額)と所得に応じた自己負担を国が定めており、その差額は入院時食事療養費として健康保険から給付されます。

2024、2025年度に引き続き、2026年度も次のように引き上げられることになりました。

 2026年5月まで2026年6月から
食事療養基準額690円730円
生活療養基準額604円644円

出典:個別改定項目について|厚生労働省

光熱水費は1日あたり60円増

入院時の「光熱水費」とは、主に入院医療の長期化が見込まれる療養病床に入院している65歳以上の患者が、入院中の電気代、ガス代、水道代として自己負担する費用です。

1日あたりの費用は、2026年5月までの370円が2026年5月以降は430円に値上げされます。

「調剤時残薬調整加算」新設で薬局での調剤減が可能に

飲み忘れなどで手元に残っている薬(残薬)が、医療費の無駄につながるとして問題になっています。

そこで、2026年度の診療報酬改定では「調剤時残薬調整加算」が新設されました。処方箋を発行する医師が残薬があれば減量できることを薬局側にあらかじめ指示していれば、薬局で調剤量を減らせるようになります。

調剤時残薬調整加算は、1回あたり最大50点(3割負担で150円)上乗せされます。しかし、調剤量が減った分薬の代金は安くなるため、飲み残しが多い人にとってはメリットとなります。

診療報酬改定で初診料と再診料はいくらになる?

物価対応料の新設と外来・在宅ベースアップ評価料の拡充で、患者の負担は具体的にいくら増えるのか見てみましょう。

  2026年5月まで2026年6月から3割負担
外来
初診時
初診料291点291点948円
(57円増)
物価対応料2点
ベースアップ評価料※6点23点
外来
再診時
再診料75点76点252円
(21円増)
物価対応料2点
ベースアップ評価料※2点6点

※2025年度までに届出済医療機関の場合
出典:個別改定項目について|厚生労働省

2026年度の診療報酬改定で、初診料自体の点数は変更ありませんでした。ただし、物価対応料やベースアップ評価料が上乗せされるため、自己負担額は3割負担の場合で57円増加します。

一方、再診料は1点引き上げられました。これに物価対応料やベースアップ評価料が上乗せされるため、3割負担の場合は21円の負担増となります。

OTC類似薬自己負担の見直しは2027年3月実施予定

OTC類似薬とは、医療機関で処方される医療用医薬品のうち、ドラッグストアなどで処方箋なしに購入できる市販薬(OTC医薬品)と、成分や効能がほぼ同じ薬のことを指します。

現在は、市販薬で対応できる症状でも保険診療で処方を受ける人がいる一方、自費で市販薬を購入している人もいます。こうした負担の差を見直し、増え続ける医療費を抑えるため、OTC類似薬に特別な自己負担を設ける案が検討されています。

ただし、子どもやがん患者など、継続的な治療が必要な方については、特別負担の対象外とする方向です。

見直しは2027年3月の実施を目指しており、ロキソニンやアレグラ、ヒルドイドなど約77成分・約1,100品目について、価格の4分の1相当を患者の追加負担とする案で調整が進められています。

参考:OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について|厚生労働省

自分にできる工夫で医療費削減に取り組もう

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診療報酬は、医療技術の進歩や物価・人件費の上昇などを背景に、今後も引き上げが続くと見られています。それに伴い、私たちが医療機関で支払う自己負担額も増加します。家計への影響を抑えるためには、できることから対策することが大切です。

まずは、バランスのよい食事や適度な運動を心がけるなど、日頃から健康を意識することが何より節約につながります。さらに、ジェネリック医薬品を選ぶ、薬が残っているときは量を減らしてもらうなどの工夫で、医療費の負担軽減に取り組みましょう。