【2026年 酒税法改正】酒税一本化でビール・発泡酒・新ジャンルの価格はどう変わる?
著者
阿東いつ子

画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3232458
この記事では、ビール系飲料の新税率のほか、税率が統一される理由やビール市場の変化についてわかりやすく解説します。
#ビール #酒税 #第三のビール #家計
ビール系飲料の税率はどう変わる?

2026年10月、段階的に進んできたビール系飲料の税率統一が最終段階を迎え、350ml缶1本あたり54.25円に一本化されます。これにより、ビール系飲料の税率は次のように増減します。
- ビール:9.1円減税
- 発泡酒・新ジャンル(第3のビール):7.26円増税
なお、新ジャンルは2023年の酒税法改正により、製法に応じて「発泡酒②」または「発泡酒③」に分類されています。本記事ではわかりやすさを重視して、従来どおり「新ジャンル」という表記を用いています。
| 発泡酒② | 発泡酒に、麦原料スピリッツを加えたもの(エキス分が2度以上のもの) |
| 発泡酒③ | 糖類、ホップ、水及び大豆たんぱく等を原料として発酵させたもの(エキス分が2度以上のもの) |
ビール系飲料の税率が統一される理由
ビール系飲料の税率が統一される最大の理由は、類似した商品間の税率格差をなくし、「公平な税負担」を実現するためです。
かつて日本では、ビールは「ぜいたく品」と位置づけられ、高い税率が課されていました。そこでメーカーは、「味はほぼビール」でありながら酒税法上はビールに該当しない商品の開発に取り組みます。1994年には、ビールより麦芽比率を下げた発泡酒が発売されました。
しかし、2003年の酒税法改正で発泡酒が増税されたため、麦芽や麦の代わりにエンドウ豆や大豆などを使った、ビール・発泡酒に次ぐ“第3のビール”として新ジャンルが登場します。「ビールに近い味をより安く」というニーズに応えた発泡酒や新ジャンルはバブル崩壊後の不況期に一気に普及し、家計の負担軽減に一役買ってきました。
しかし、350ml缶で最大49円もの税額差が生じ、味や見た目が似ているにもかかわらず税負担が大きく異なる状況は、「税の公平性」という観点から課題とされてきました。そこで政府は2020年10月から段階的に酒税を見直し、ビール系飲料の税率を統一することにしました。
酒税改正でビール系飲料の価格はどうなる?
2026年10月からは、ビールが1缶あたり9.1円の減税、発泡酒・新ジャンルが7.26円の増税となります。ただし、これがそのまま小売価格に反映されるとは限りません。
主なビールメーカーは2025年4月に価格改定を実施しており、それから1年以上が経過して
ます。この間の原材料価格や物流費、人件費などの変動が本体価格に影響することも考えられます。
そのため、最終的な販売価格は現時点では断定できません。実際どの程度の価格になるかは、2026年の夏から秋にかけて各社から順次発表される見込みです。
前回の酒税法改正でビール系飲料の値段はどう変わった?
酒税法改正がどの程度小売価格に影響するのか、前回・前々回の改正前後の価格を見てみましょう。
東京都区部の平均価格(350ml缶1本あたりに換算)
| 2020年 | 2023年 | |||||||
| 増減額 | 9月 (改正前) | 10月 (改正後) | 価格差 | 増減額 | 9月 (改正前) | 10月 (改正後) | 価格差 | |
| ビール | -7 | 196.5 | 188.2 | -8.3 | -6.65 | 196.3 | 188.0 | -8.3 |
| 発泡酒 | 0 | 136.8 | 135.7 | -1.2 | 0 | 147.7 | 152.7 | +5.0 |
| 新ジャンル | +9.8 | 110.5 | 122.3 | +11.8 | +9.19 | 129.8 | 145.7 | +15.8 |
総務省統計局 小売物価統計調査(動向編)2020年、2023年をもとに作成
2020年と2023年の酒税改正では、ビールの酒税は350mlあたりそれぞれ約7円引き下げられましたのに対し、小売価格は平均でおよそ8円程度下がりました。今回の改正では、これまでを上回る9.1円の減税となるため、どの程度価格に反映されるのか期待が高まります。
一方、新ジャンルは過去の改正時にそれぞれ9.8円、9.19円の増税となり、店頭でも10円を超える値上げがおこなわれました。今回はビールと同じ税率に統一されることで「価格の安さ」という優位性が薄れます。これにより、増税後は機能や味など別の価値がより重視されることになりそうです。
税率統一でビール系飲料市場はどう変わる?

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ビール系飲料の税率統一を前に、ビール大手各社は「ビール回帰」に舵を切ってます。
各社とも発泡酒や新ジャンルに割いていた開発力をビールに注ぎ、より幅広いニーズに応えるための商品づくりに取り組んでいます。これにより多彩な新商品が発売され、味や価格帯の選択肢が広がっています。
また、既存の新ジャンルブランドをビールに格上げする動きも見られます。麦芽比率を引き上げるなどして酒税法上の「ビール」に切り替えるもので、サントリーは「金麦」を、キリンビールは「本麒麟」を、いずれも2026年10月に向けてビールとしてリニューアルする予定です。
一方の発泡酒や新ジャンルは、安さ以外の価値を打ち出す動きが強まるとみられています。機能性や味わいを強化し、ビールとの差別化を図る流れが進みそうです。
チューハイは350mlあたり7円増税

2026年10月は、ビール系飲料の税率統一に加えて、チューハイ等(蒸留酒やリキュールをベースとした低アルコール飲料)の増税も実施されます。
チューハイの税率は350ml換算で7円引き上げられ、28円から35円になります。これにより、2023年に税率が統一された清酒(日本酒)や果実酒(ワインなど)と同じ水準となります。
10月からのビール系飲料の価格に注目しよう

画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/30022632
酒税法改正により、2026年10月からビールは値下げ、発泡酒・新ジャンル・チューハイは値上げが予想されます。普段からビールを飲んでいる方は、できるだけストックを持たずに10月を迎えた方がお得です。
一方、発泡酒や新ジャンル、チューハイは増税前の9月中に購入しておくと負担を抑えられます。ただし、過度なまとめ買いは飲み過ぎにつながりやすいため注意が必要です。
どの程度の価格改定がおこなわれるかは、2026年の夏から秋にかけて発表される見込みです。今後の各社の発表に注目してみましょう。
著者
阿東いつ子