
猛暑インフレが家計に与える影響は?秋以降も続く?

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そこでこの記事では、猛暑で値上がりしたものや値上がり幅を解説。猛暑で増えた消費項目や1世帯あたりの支出増についてもお伝えします。
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猛暑インフレとは?

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「猛暑インフレ」とは、夏の異常な暑さによってモノやサービスの価格が上がる現象を指します。例えば、記録的な暑さが続くことで農作物の収穫量が落ちたり、家畜や養殖魚の生育不良が起き、供給量が減ることで価格高騰につながります。
2024年から続く米の価格高騰も、猛暑が原因のひとつといわれています。2023年は高温により米粒の中にデンプンが十分に蓄積されず、不透明になったり白い斑点が出たりするなど食用に適さない米の割合が例年より多くなりました。これにより食用米の流通量が減って需要と供給のバランスが崩れ、価格高騰の一因となりました。
猛暑で何がどれくらい値上がりした?
猛暑による値上がりは夏野菜や畜産品など幅広い食品に及び、家庭の食卓や外食などに影響が出ています。それぞれの食品がどれくらい値上がりしたのか見ていきましょう。
夏野菜は例年より2~3割程度高め
暑さに加えて雨が少なかったため、夏野菜に花が落ちたり実が変形したりする「高温障害」が発生し、流通量が減少しました。『農林水産省の食品価格動向調査(野菜)』によると、2025年8月18日の週の平均価格は平年比できゅうり:123%、トマト:127%といずれも高値になりました。
国産豚肉価格は過去最高の水準
去年の猛暑で豚の繁殖がうまくいかず、出荷頭数が減少しました。さらに、この夏の暑さでエサを食べる量が減って生育が悪化したことで、供給量が減って価格が上昇しました。
日本食肉市場卸売協会の調査によると、東京都の卸売価格は7月18日に1kgあたり948円と過去最高値を更新し、その後も高値傾向が続いています。
卵1パックは例年より60円程度高値
夏場は卵の需要が落ち着き価格が下がる傾向にありますが、昨冬の鳥インフルエンザ流行で供給力が落ち込んだところに猛暑でニワトリの食欲が低下して生産量が減ったため、今年は高値が続いています。
農林水産省の『食品価格動向調査(食肉・鶏卵)』によると、2025年8月のサイズ混合・10個入りの平均価格は1パック303円で、平年比127%となっています。
養殖ブリは5割程度値上がり
天然ブリに比べて価格が安定している養殖ブリも、猛暑によって値上がりしています。海水温の上昇が原因で大量死や生育不良が発生し、出荷量が減ったことで価格は5割程度値上がりしました。
新米価格は去年より5kgあたり1,000円ほど高め
2025年産の早場米の出荷が始まりましたが、食用に適した品質の良い米の割合は猛暑や水不足の影響により例年より低めです。さらに、2024年から続く価格高騰の影響で、概算金(JAが集荷の時に生産者に支払う一時払い金)も大幅に上昇しています。これにより5㎏あたりの店頭価格は4,000円台が中心で、前年よりおよそ1,000円程度高めです。
新米の価格が高めとなったことで、備蓄米の放出により下降傾向にあった米の平均価格も再び上昇に転じています。新米が本格的に店頭に並ぶ9月下旬以降も、高値傾向は続くとみられています。
猛暑インフレは世界でも
近年、日本だけでなく世界各地でも異常気象が発生しており、さまざまな農作物の生育に影響を及ぼしています。
例えば、ヨーロッパでは干ばつの影響でオリーブの収穫量が減少し、オリーブオイルの価格が前年より5割程度上昇しました。また、アフリカでは熱波によるカカオの不作が深刻化し、チョコレートの原料となるカカオ豆の価格が約2.8倍に跳ね上がっています。
さらに、ブラジルでも干ばつが続き、コーヒーの代表的品種であるアラビカ種の収穫量が落ち込んだことで、国際相場は5割以上上昇しました。
日本は多くの食品を輸入に頼っているため、このような海外の農産物価格の高騰は家庭の食費を押し上げる原因となっています。
猛暑が家計に与える影響

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猛暑は食品の値上がりにつながるだけでなく、消費行動にも影響を与えます。
例えば、エアコンの使用頻度が増えたことで電気代が上昇し、さらにエアコン本体をはじめとする冷房機器への購入需要も高まりました。また、火を使わずに食べられる弁当や、清涼飲料水、アイスクリームといった冷たい食品の消費も拡大しています。
帝国データバンクの『東京都の猛暑が家計支出に与える影響調査(2025年)』よると、猛暑の影響による東京の1世帯あたりの支出増は7月が2,687円、8月が4,337円で、1ヵ月あたり3,512円追加支出が生じたと推計されています。
秋以降も猛暑インフレが続く可能性大
気象庁が発表した『向こう3か月の天候の見通し』によると、9月から11月は全国的に平均気温が高くなる見込みで、秋以降も猛暑の影響は続きそうです。また、日本の平均気温は長期的に上昇していることから、来年以降も猛暑となる可能性は高いです。
「食品ロスを減らす」「お買い得な食材を献立に取り入れる」などを実践し、猛暑インフレを乗り切れるよう無理のない節約に取り組んでいきましょう。