
2025年4月から変わること①酒類など幅広い品目が値上げ

この記事では4月からの変更点を3回に分けて解説します。1回目のテーマは多くの方が気になる「値上げ」です。値上げ対象となる品目や値上がり幅のほか、値上げの理由や実践したい対策についても紹介します。
2025年4月の値上げ品目一覧

2025年4月から、主に次のような品目で値上げが発表されています。
- 食品(調味料や加工食品等)
- 酒類
- 日用品(紙製品等)
- 電気代
- 国民年金保険料
それぞれ詳しく見ていきましょう。
食品は調味料や乳製品など幅広く値上がり
4月から家庭向け製品の値上げを発表している主な企業と品目、値上率は次の通りです。
企業名 | 対象品目 | 値上率 |
---|---|---|
ケンコーマヨネーズ | マヨネーズ・ドレッシング類、ソース類、タマゴ加工品、ロングライフサラダ類、和惣菜、その他 計約1,200品目 | 約3~45% |
森永乳業 | 牛乳類、ヨーグルト、デザート、ホイップ、家庭用バター、家庭用チーズ 計47品目 | 2.5~9.1% |
プリマハム | ハム・ソーセージ、加工食品の家庭用・業務用商品 計約200品目 | 2.0% ~26.8% |
日清食品 | 即席カップライス製品(完全メシシリーズ除く) | 約11% |
参考:
商品価格改定のご案内 <2025年4月1日 納品分より>| ケンコーマヨネーズ
一部商品価格改定のお知らせ | 森永乳業株式会社
ハム・ソーセージ、加工食品 価格改定のお知らせ|プリマハム
即席カップライス製品の価格改定に関するお知らせ | 日清食品グループ
各メーカーからの発表によると、原材料や包装資材、エネルギーコストの上昇や人件費や物流費の高騰などが値上げの要因とされています。
なお、昨年から高騰が続いている米ですが、政府の備蓄米が放出されて2025年3月下旬以降順次店頭に並ぶ見込みで、これにより価格が落ち着くことが期待されています。
酒類は大手ビールメーカーが一斉に値上げ
国内大手ビールメーカー4社が4月からの値上げを揃って発表しています。いくら高くなるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
4大ビールメーカーの値上げ対象品目と値上率は次の通りです。。
企業名 | 対象品目 | 値上率 |
---|---|---|
アサヒビール | ビール類や酎ハイなど酒類226品目 | 5~8% |
サントリー | ビール類缶酎ハイや国産ワイン、ノンアルコール飲料など208品目 | 4~11% |
キリンビール | ビール類や缶酎ハイなどアルコール飲料(RTD、レディー・トゥー・ドリンク)、たる詰め商品、ノンアルコール飲料。全216品目 | 5~12% |
サッポロビール | ビールに加えて、缶酎ハイ「濃いめのレモンサワー」などのアルコール飲料、たる詰め商品やノンアルコール飲料など。全208品目 | 3~9% |
参考:
ビール類・RTD・輸入洋酒・輸入ワイン・その他樽詰酒類・ノンアルコール飲料などの価格改定について|アサヒビール
ビール類・RTD・国産ワイン等の価格改定について|サントリー
ビール類・RTD・その他樽詰商品・ノンアルコール飲料 一部商品の価格改定について|キリンビール
ビール類・酒類テイスト飲料・RTD その他樽詰酒類・輸入ワイン・焼酎などの 一部商品の価格改定について | サッポロビール
今回の値上げは、アルミや段ボールなどの資材コストのほか物流費の高騰が背景にあります。このため、ビールや缶酎ハイなどのアルコール飲料だけでなく、ノンアルコールのビールテイスト飲料なども対象です。
具体的な値上げの金額は店舗により異なりますが、例えばアサヒビールの「スーパードライ」350ml缶は現在のコンビニ実勢価格税込225円前後が240円前後に、「GINON(ジノン)」350ml缶は税込225円前後が240円前後に値上がりすると見られています。
日用品はティッシュなどの紙製品が値上げ
日用品については、ティッシュやトイレットペーパーなどを扱う大手企業が揃って値上げを発表しています。
企業名 | 対象品目 | 値上率 |
大王製紙 | ティシュー、トイレットペーパー、キッチンタオル、ペーパータオル 他家庭用・業務用紙製品 全品 | 10%以上 |
王子ネピア | ティシュ、トイレットロールなど家庭紙製品 全品 | 10%以上 |
カミ商事株式会社 | ティシュー、トイレットロール、キッチンタオル 他、家庭紙製品全品 | 10%以上 |
参考:
家庭用・業務用紙製品の価格改定について|大王製紙株式会社
家庭紙製品の価格改定に関するお知らせ |王子ネピア株式会社
家庭紙製品の価格改定について|カミ商事株式会社
大王製紙は4月1日から、王子ネピアとカミ商事株式会社は4月21日出荷分より値上げです。また、日本製紙グループも5月からの値上げを発表しています。
製品の価格改定に関するお知らせ|日本製紙グループ
紙製品の値上げは、原材料費や燃料コスト、物流費、人件費の高騰が主な原因です。特に、原料となるパルプは輸入に依存しているため、円安の影響が大きく、価格上昇を後押ししています。
電気代やガス代は補助金終了により値上げ
政府の「電気・ガス料金負担軽減支援事業」により、2025年1月~3月使用分の電気・ガス料金には補助金が適用され、価格が抑えられています。しかし、4月の検針分をもってこの補助が終了するため、電力・ガス各社が値上げを発表しています。
例えば電気料金は、東京電力のモデルケース(従量電灯B・30A・月260kWh使用)で次のように値上げが実施されます。
- 3月検針分:8,595円
- 4月検針分:8,972円(+377円の値上げ)
ガス料金は、東京ガスの標準家庭(東京地区・一般料金・月30㎥使用)の場合、次のように値上がりします。
- 3月検針分:5,653円
- 4月検針分:5,886円(+233円の値上げ)
参考:原料費調整制度に基づく2025年4月検針分のガス料金について | 東京ガス
上記は同じ使用量で計算しているので、気温の上昇などで使用量が減ればは3月より安くなる場合もあります。
なお、値上げ額は契約している会社のほかプランによって異なります。契約先からのお知らせや公式ホームページなどで最新の情報を確認しましょう。
国民年金保険料は物価や賃金の上昇に合わせて値上げ
国民年金保険料は、物価や賃金の上昇に合わせて毎年4月に調整されます。2025年度の国民年金保険料額は月額17,510円で、2024年の16,980円から530円引き上げられます。
なお、2025年度の厚生年金保険料率は18.3%で変更はありません。
実践したい値上げ対策

帝国データバンクの「食品主要195社」価格改定動向調査 (2025年3月)によると、値上げ品目数は1月以降3ヵ月連続で前年同月を上回っており、早ければ4月にも前年実績を上回ると予想されています。そこで、家計を守るために実践したい値上げ対策をご紹介します。
値上げ対策①買いだめする
ビールやティッシュペーパーなどの保存が可能な商品は、値上げ前にまとめて購入しておくことで、家計の負担を軽減できます。
ただし、過度に買いだめをすると在庫がある安心感から無駄に消費してしまい、結果として節約にならない可能性もあります。必要量を見極めて計画的に購入することが大切です。
対策②電力・ガス会社やプランを見直す
電力・ガスの自由化により、現在は契約する電力・ガス会社を自由に選ぶことができます。携帯電話やネット回線とまとめるとお得になる場合も多いため、比較して自分に合った会社を選ぶと良いでしょう。
また、電気料金は同じ会社でも複数のプランがあり、家族の人数や電気を使う時間帯に応じたものを選ぶことで、節約できる可能性があります。
さらに、省エネ家電への買い替えやこまめな節電、お風呂の追い炊きを減らすなどの工夫もあわせると、より光熱費の削減が期待できます。
対策③国民年金保険料は前納がお得
国民年金保険料は、毎月納めるよりも前納することで割引が適用され、支払総額を抑えられます。例えば2024年度の割引額は次の通りです。

前納には半年払い、1年払い、2年払いの選択肢があり、支払期間が長いほど割引額も大きくなります。ただし、一度にまとまった金額を支払う必要があるため、家計の状況を考慮し、無理のない範囲で活用するとよいでしょう。
4月からの値上げに向けた対策で家計を守ろう
2025年4月から、食品や日用品をはじめ、電気・ガス料金、公共料金など、さまざまな身近なものの値上げが予定されています。特に加工食品や飲料、家庭用消耗品の価格上昇が目立ち、家計への影響が懸念されます。
また、業務用食材や建築資材の値上げも発表されており、外食や住宅関連のコスト増加につながる可能性があります。こうした値上げに対抗するため、買いだめや光熱費削減などの対策を講じ、少しでも家計の負担を抑えましょう。
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