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2025/05/16

家族3~4人は収入がいくらあれば暮らせる?

子どもが1人増えると、食費や教育費、水道光熱費などの生活費が増えます。さまざまな子育て支援策があるとはいえ、月々数万円の負担増は避けられません。そのため、将来のライフプランで悩んでいる人も多いでしょう。

そのような人に向けて、本記事では家族3~4人が安定して暮らせる収入や、チェックしたい子育て支援策を紹介します。

家族3~4人の場合の生活費

まずは、家族の人数が2人から3人・4人と増えたときに生活費がどのように変わるのか、総務省の「家計調査結果(2024年)」で見てみましょう。

<1ヵ月あたりの支出金額>

支出項目2人3人4人
食料75,254円84,708円94,962円
住居29,427円19,772円15,174円
光熱・水道19,253円22,157円22,733円
家事・家具用品12,326円13,473円12,710円
被服及び履物9,631円11,622円14,008円
保険医療12,984円13,426円12,942円
交通・通信47,786円47,605円52,356円
教育2,016円19,728円33,497円
教養娯楽31,512円30,022円35,064円
その他の消費支出65,334円58,848円49,048円
合計305,523円321,361円342,494円

総務省|家計調査(2024年) 二人以上の世帯・勤労者世帯・勤労者世帯(うち世帯主が60歳未満)・無職世帯をもとに作成

支出金額の合計は世帯人数が増えるにつれて増加しますが、具体的には2人から3人になると1.05倍、2人から4人になると1.12倍で、増加率は意外と小さいことがわかります。これは、光熱費の基本料金などは人数が増えてもあまり変わらないことが影響しています。

また、食費や日用品などは家族の人数が増えると増加しますが、まとめ買いによる割引効果などで1人あたりのコストは抑えられます。その結果、食費の増加率は、2人から3人で1.12倍、2人から4人で1.26倍にとどまっています。

一方、住居費は人数が増えるにつれて減少していますが、これは家族が増えると持ち家率が上がることが要因と考えられます。2024年の家計調査によると、住宅ローンの返済額は2人世帯で29,611円、3人世帯で41,395円、4人世帯で54,985円となっており、賃貸の支払いが住宅ローンの返済に移行するケースが多いと推測されます。

なお、このデータは世帯主が60歳未満の勤労者世帯を対象とした調査結果です。同じ4人家族でも「大人2人+子ども2人」の場合もあれば、「大人1人+子ども3人」の場合もあり、世帯主以外の家族の年齢は幼児から成人までさまざまです。支出のうち特に教育費は子どもの年齢で大きく変動するため、次の項目で詳しく解説します。

関連記事:2025年4月から変わること②子育て関連の給付金と住宅関連の補助金が新設

子どもの教育費は1人あたりいくらかかる?

1年間でかかる子どもの教育費は、年齢や進学先で異なります。まずは、文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」をもとに計算した1ヵ月あたりの費用をご覧ください。

<子どもの学習費(月額)>

公立幼稚園15,387円
私立幼稚園28,945円
公立小学校28,022円
私立小学校152,343円
公立中学校45,206円
私立中学校130,030円
公立高等学校(全日制)49,813円
私立高等学校(全日制)85,857円

文部科学省|令和5年度子供の学習費調査をもとに作成

この金額は学校教育費、学校給食費、学校外活動費(自宅学習や学習塾・家庭教師、体験活動や習い事などの経費)の合計です。家計調査の教育費の平均は2人のとき2,016円、3人のとき19,728円、4人のとき33,497円だったので、公立幼稚園以外は平均より支出が増えることがわかります。

文部科学省の調査は高校までなので、大学に進学した場合の教育費は日本政策金融公庫が実施した「令和3年度「教育費負担の実態調査結果」」を参考にします。大学の1年間の教育費の平均を1ヵ月に換算したのが次の金額です。

<四年制大学の教育費(月額)>

国公立大学8.6万円
私立大学(文系)12.7万円
私立大学(理系)15.3万円

日本政策金融公庫|令和3年度「教育費負担の実態調査結果」をもとに作成

上記の金額には、授業料や通学費、家庭での学習費が含まれます。さらに、大学入学初年度は入学費用として、国公立大学で平均67.2万円、私立文系で81.8万円、私立理系で88.8万円かかります。

また、大学生になると通信費や被服費などが増えることが多く、自宅外から通学する場合は家賃や光熱費などの生活費が必要になります。そのため、子どもの進路に応じた費用を事前に準備しておくことが重要です。

国や自治体の補助金や助成金も活用しよう

少子化と人口減少の深刻化を受け、政府は2023年6月に「こども未来戦略方針」を閣議決定し、「こども・子育て支援加速化プラン」に重点的に取り組んでいます。これにより、子育てに関する補助制度は年々拡充されています。

例えば2024年10月からは児童手当が拡充され、支給期間が高校生年代まで延長されるとともに第3子以降の支給額が増額。1ヵ月あたり3歳未満は15,000円(第3子以降は30,000円)3歳以上高校生年代まで10,000円(第3子以降は30,000円)が支給されるようになりました。

2025年4月からは従来の「出産・子育て応援交付金」に代わり「妊婦のための支援給付」がスタート。妊娠の認定後に一律5万円が支給され、さらに出産予定日の8週間前以降に胎児の数を申請することで、妊娠している子どもの人数×5万円が追加で支給されます。

また、教育分野では2020年4月から「私立高校授業料実質無償化」が始まっており、所得制限はあるものの、年収590万円未満の世帯では子ども3人までの授業料が無償化(※1)されます。これにより、家計が厳しい世帯でも子どもの進学の選択肢が広がる可能性があります。

さらに、自治体によっては独自の制度を実施している場合があるため、お住いの市区町村のホームページなどをチェックしてみましょう、該当するものがあれば賢く活用することで、子育ての費用負担を減らす助けになるでしょう。

(※1)実際は課税標準額や市町村民税の調整控除額などで判断されるため、年収はあくまでも目安。

利用できる子育て支援策がないか探してみよう

夫婦2人のみの世帯に比べると、子どもがいる世帯では食費や交通・通信費、教育費などの支出が増えます。地域やライフスタイルにもよりますが、幼児1人を含む3人家族の場合は毎月の生活費が30万円弱かかります。生活費が増えることに悩んでいる人は、政府の方針や最新情報をチェックして子育て支援を利用してみましょう。

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