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2025/01/20

選挙で株価や為替はどう動く?直近の衆議院総選挙と米大統領選を分析

2024年10月から11月にかけて、衆議院総選挙や米大統領選といった注目度の高い選挙が相次いでおこなわれました。有名な相場格言に「選挙は買い」とありますが、今回はどのような影響があったのでしょうか。

この記事では衆議院総選挙と米大統領選について株価と為替を選挙前後で比較。変動理由についてわかりやすく解説します。

過去3回の衆議院総選挙で株価と為替はどう動いた?

2024年衆議院選挙の前に、まずは過去3回の選挙前後で日経平均株価とドル/円為替レートがどう動いたか見ていきましょう。

過去3回の衆議院総選挙のうち、選挙後6ヵ月の株価が選挙前を上回ったのは2回でした。この2回の選挙はどちらも安倍政権下でおこなわれたもので、経済政策への期待から株価の上昇がみられました。一方、岸田政権下では経済政策への不安から選挙前から選挙後にかけて株価は下落傾向でした。

為替については、2013年からの大規模な金融緩和政策によりある程度の変動はあったものの円安傾向が継続しました。このうち、2022年にはアメリカの金利が上昇して日米の金利差が大きくなったことから、さらに円安が進みました。

このように、選挙前後の株価は経済政策への期待や不安によって変動します。為替も選挙による変動はありますが、基本的には日銀や海外の経済政策の影響が大きいようです。

2024年10月総選挙後の株価と為替はどうなる?

10月1日の石破内閣発足後まもなくおこなわれた衆議院総選挙。10月27日に投開票され、15年ぶりに単独過半数を割りました。選挙直前と直後の日経平均株価とドル/円為替レートは次の通りです。

事前に自民党の苦戦が予想されたため、株価は選挙前の10日間で1,000円以上下落しました。選挙により与党過半数割れが確定しましたが、自公連立政権が継続する可能性が高いことから安心感が広がり、選挙翌日は大幅に反発しました。

為替は、石破新首相の下で円高が進むと期待されていましたが、“利上げに慎重”という発言により円安傾向が続いています。

“内閣支持率が高いほど株価は上昇傾向”といわれるのに対し、石破内閣発足時の支持率は2000年以降の歴代内閣で最低。また、与党過半数割れで政治が不安定化することは、今後の金融市場にとってネガティブな要素です。

ただし、日本経済は日本の政治だけでなくアメリカの経済政策の影響も色濃く受けます。そこで、アメリカ大統領選挙と株価・為替についても見ていきましょう。

過去3回のアメリカ大統領選挙で株価と為替はどう動いた?

アメリカ大統領選挙は、4年に1度おこなわれます。過去3回のアメリカ大統領選挙前後では、次のように日経平均株価とドル/円レートが動きました。

アメリカ大統領選後は、次期大統領が決まった安心感から株価が上がりやすい傾向にあります。過去3回のアメリカ大統領選挙でも、経済政策などへの期待が高まり株価が上昇しました。

アメリカの株高は日本の株式市場にも影響を与えます。特に2012年のオバマ大統領再選は日本の「アベノミクス」開始と重なり、日経平均株価が急上昇しました。また、前回トランプ大統領が当選した2016年は減税政策やインフラ投資への期待が高まって米国の長期金利が上昇。ドル高が進行し、「トランプラリー」と呼ばれる世界的な株高に発展しました。

“またトラ”で株価と為替はどうなる?

“トランプ再選”となった今回のアメリカ大統領選挙。選挙直前と直後の日経平均株価とドル/円為替レートは次の通りでした。

大統領選前に世論調査でトランプ氏優勢が伝えられると、株や景気にプラスになるとの期待からアメリカでは株価が上昇。勝利が決まった後はさらに加速して、11日のニューヨーク株式市場では終値として初めて44,000ドル台をつけました。

日本でも選挙前から選挙後にかけて日経平均株価が上昇しましたが、翌週には下落しています。為替は、トランプ氏の掲げる追加関税などの政策により円安が進行。7日に一時1ドル=154円71銭と7月30日以来の安値をつけ、その後も円安傾向が続いています。

大統領選前後の短期間でも株価や為替に動きがありましたが、実際の就任は来年1月です。新政権の具体的な政策方針が示されると、これに合わせて株価や為替が大きく動くことが予想されます。

選挙前後は株価と為替の動きに注意が必要

衆議院総選挙やアメリカ大統領選挙といった注目度の高い選挙では、選挙結果への期待や不安によって選挙前から株価や為替が変動します。また、選挙後は新政権の掲げる政策が市場に影響を与え、予想外の値動きになることもあります。

株式などを取引する際は、情報をしっかり確認して冷静で慎重な判断を心がけましょう。