【2024年12月】日銀とFOMCの政策決定と為替への影響
この記事では、金融政策決定会合とFOMCの概要や為替に与える影響、2025年の日程、直近の会合結果と市場の反応について解説します。「経済について知りたいけど難しそう」と感じている方も、ぜひ気軽にご覧ください。
日銀の金融政策決定会合とは
金融政策決定会合とは、日本の中央銀行である日銀が、金融政策の運営について審議・決定する会合です。経済の安定や成長を目的としていて、主に次の4点について審議されます。
- 金融市場調節方針
- 基準割引率、基準貸付利率および預金準備率
- 金融政策手段(オペレーションにかかる手形や債券の種類や条件、担保の種類等)
- 経済・金融情勢に関する基本的見解等
会合は2日間にわたって審議され、結果は2日目終了後の11~13時頃に発表。15時30分頃には日銀総裁による記者会見がおこなわれます。政策金利の誘導目標や金融・経済情勢についての見解などが示されるため、ニュースなどでも大きく取り扱われます。
日銀の金融政策決定会合が為替に与える影響
金融政策決定会合で特に注目されるのが「政策金利」です。政策金利とは景気や物価の安定のために設定される短期金利で、一般的に景気が過熱しているときは金利引き上げ(金融引き締め)を、景気が悪化しているときは金利引き下げ(金融緩和)をおこないます。
政策金利は金融機関の預金金利や貸出金利だけでなく、為替にも影響を与えます。例えば、日銀が低金利を維持する一方でアメリカ(FRB:連邦準備制度理事会)が利上げを進めると、金利差が拡大し円安が進む傾向があります。逆に日銀が利上げに動くと、金利差が縮小して円高に傾きやすくなります。
このため、投資家は日銀の声明や日銀総裁の記者会見に注目しており、発表内容が予想を大きく超える場合は為替が急変することもあります。
直近の日銀金融政策決定会合の決定内容は?
2024年最後の金融政策決定会合は、12月18日~19日の日程で開催されました。政策金利の利上げに踏み切るかに注目が集まりましたが、結果はおおむね市場の予想通り「0.25%に据え置き」で、3会合連続の利下げ見送りとなりました。
この結果と後ほど説明するFOMCの決定内容を受け、日米の金利差がなかなか縮小されないと見られることからドル円は円安方向に動き、1ドル=155円台まで下落しました。
2025年の日銀金融政策決定会合予定
金融政策決定会合の日程は、原則として年の半ばあたりに翌年の予定が公表されます。2025年の日程は次の通りです。
- 1月23日 ~ 24日
- 3月18日 ~ 19日
- 4月30日 ~ 5月1日
- 6月16日 ~ 17日
- 7月30日 ~ 31日
- 9月18日 ~ 19日
- 10月29日 ~ 30日
- 12月18日 ~ 19日
このうち、年4回(通常1月・4月・7月・10月)の会合後は、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が公表されます。展望レポートは日銀が経済や物価の見通し、今後の金融政策運営の考え方などをまとめたもので、金融市場から大いに注目されています。
FOMC(連邦公開市場委員会)とは
FOMC(連邦公開市場委員会)は、アメリカの中央銀行に当たるFRB(米連邦準備制度理事会)が開催し、金融政策を決定する会合です。アメリカ経済の安定を目的に、主に次の2点が審議されます。
- 政策金利(主にフェデラルファンド金利の目標値)
- 量的緩和や資産購入・売却の方針(国債や住宅ローン担保証券などの買い入れ規模等)
FOMCの結果は日本時間午前4時(米国がサマータイムのときは午前3時)に発表され、その後日本時間午前4時30分(サマータイム時は午前3時30分)にFRB議長による記者会見が開かれます。
FOMCが為替に与える影響
ドルは全通貨の中心的な地位を占める「基軸通貨」としての役割があり、多くの企業が貿易や国際決済にドルを使用するため、FOMCの発表は世界中の為替市場に大きな影響を与えます。
日本円との関係でいえば、FOMCで利上げが発表されるとドルが買われやすくなって円安が進む一方、利下げや緩和が示されるとドル安・円高につながることが多いです。
直近のFOMCの決定内容は?
2024年最後のFOMCは、12月17日~18日の日程で開催されました。事前の予想通り、政策金利は0.25%引き下げた4.25~4.50%とし、9月の会合以降3会合連続での利下げとなりました。
また、FOMCメンバーが予想する政策金利の見通しでは2025年の利下げは2回と想定され、前回(9月)見通しの4回から減少しました。これにより、利下げのペースは鈍ることが見込まれるため、日銀の金融政策決定会合の結果と合わせてドル円は円安方向に傾きました。
2025年のFOMC開催予定
FOMCは年8回おこなわれます。2025年の開催日程は次の通りです。
- 1月28日~29日
- 3月18日~19日
- 5月6日~7日
- 6月17日~18日
- 7月29日~30日
- 9月16日~17日
- 10月28日~29日
- 12月9日~10日
出典:The Fed - Meeting calendars and information
年8回のうち3月・6月・9月・12月の会合では、FOMCメンバーによる経済予測が発表されます。3年後までの政策金利や実質GTPなどの重要な経済見通しが含まれるため、この内容にも注目が集まります。
日銀の金融政策決定会合やFOMCの前後は為替変動に注意
日銀の金融政策決定会合やFOMCでは、政策金利や金融政策など経済に大きな影響を与える内容が決定されます。特に政策金利の変更や予想を上回る発表があった場合は、急激な値動きが起こりやすくなります。
投資や取引をおこなう際は、発表結果だけでなく、事前の情報収集やリスク管理を徹底することも大切です。